骨髄線維症の治療薬として
ノバルティス ファーマ株式会社は、本日、骨髄線維症の治療薬として「ジャカビ(R)錠5mg」(一般名:ルキソリチニブ、開発コード:INC424、以下ジャカビ)の製造販売承認を取得した。
条件付きの承認
今回の国内承認にあたっては、「国内での治験症例が極めて限定されていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、使用患者の背景情報を把握し、ジャカビの安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、適正使用に必要な措置をとること」が承認条件となっている。
骨髄線維症
骨髄線維症は、造血組織である骨髄が線維化することで、正常な血液の産生が妨げられる進行性の血液がんだ。国内における現在の有病者数は約1500人と推測され、厚生労働省の難治性疾患克服研究事業の対象にも指定されている希少疾患だ。
その症状は、脾腫(脾臓の肥大)や脾腫に伴う腹部の不快感や痛み、倦怠感・寝汗・体重減少・痒みなどの消耗性の全身症状、貧血に伴う倦怠感・疲労感などさまざまである。疾患の進行に伴い患者のQOLは大きく損なわれ、一般的に予後は不良で、国内の5年生存率は38%、生存期間の中央値は3年から4年とされている。
骨髄線維症の主要な合併症に対する対処療法として、薬物治療が行われるが、効果は限定的だ。そして、唯一治癒する可能性があるものが造血幹細胞移植だが、高齢の患者が多く、移植の対象となる患者はごく一部である。
また対象となった場合でも移植関連の合併症・死亡率が高く、実際の実施率は低いとされている。そのため、骨髄線維症の治療選択肢は非常に限られており、新たな治療選択肢が求められている。
ジャカビ
ジャカビは、ヤヌスキナーゼ(JAK)と呼ばれる酵素を阻害する働きを持つJAK阻害剤で、JAK1及びJAK2に高い選択性がある。
骨髄線維症の病因は十分には解明されていないが、JAK経路の恒常的な活性化が大きく関与していると考えられており、ジャカビは、遺伝子変異の有無に関わらずこのJAK経路を阻害することで、脾腫の縮小やサイトカインの産生抑制、患者のQOL低下の主な原因である諸症状の改善が期待できるという。
骨髄線維症に対するジャカビの有効性と安全性は、国際共同第3相臨床試験と、日本からも参加して実施されたアジア国際共同第2相臨床試験の、プラセボや既存の治療薬を投与した患者と比較し、脾腫の縮小などが確認できた結果によるもの。

ノバルティスファーマ株式会社 ニュースリリース
http://www.novartis.co.jp/news/2014/pr20140704_02.html