今回の発表内容
北海道大学及び大阪大学の教授らから構成される研究グループは、2014年6月3日に単純ヘルペスウイルスが宿主に感染するメカニズムを解明したと発表しました。
単純ヘルペスウイルスは、皮膚や眼の疾患、小児ヘルペス、性器・口唇ヘルペス、そして脳炎といった様々な病気を引き起こす難治性の病原性ウイルスです。日本では年間7万人が治療を受けている病気です。その中でも、性器ヘルペスは、既存の抗ウイルス薬では完治することが不可能です。また、脳炎に罹ってしまうと重度の後遺症が残るだけでなく、場合によっては死に至ることがあるのです。
今回の実験内容
今回の実験では、単純ヘルペスウイルスが哺乳類の免疫細胞表面に存在するたんぱく質のPILRαを利用することで、免疫応答を抑制し細胞に感染することがわかりました。このことにより、PILRαが単純ヘルペスウイルス表面にあるペプチドと糖鎖を同時に認識する分子機構を世界で初めて解明できたのです。
今回の発表は、免疫や感染症をはじめとする様々な生命現象の理解につながるだけではなく、ワクチンの効果を高める薬、新規抗ウイルス薬、そして免疫調節薬などを開発するための基礎となる情報が豊富に含まれています。

北海道大学 プレスリリース
http://www.hokudai.ac.jp/