再発乳がんに対して延命効果を証明
大鵬薬品工業株式会社は、米国で開催された第50回米国臨床腫瘍学会(ASCO)において、SELECT BC試験の結果を発表した。
同試験は、遠隔転移を有する進行・再発乳がん症例に対して、TS-1単剤で一次化学療法としての延命効果を証明した、初めての試験。
副作用やQOLを重視した薬剤選択が妥当
SELECT BC試験は、公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンターがん臨床研究支援事業(PHRF-CSPOR)が、大鵬薬品との委受託契約に基づく資金提供下で実施した試験。遠隔転移を有する進行・再発乳がんの一次化学療法例を対象として、標準療法の1つであるTaxane療法とTS-1療法を比較した、第3相臨床試験だ。
転移・再発乳がんの治療の目的が「延命」と「QOLの改善」であることを受け、全生存期間が劣らないのであれば、副作用やQOLを重視した薬剤選択が妥当であるというコンセプトを基に、実施されている。
全国258施設の医療機関が参加
試験には、全国258施設の医療機関が参加。2006年10月から2010年7月の間に、618例が登録された。
主要評価項目である全生存期間(OS)においては、TS-1群が35.0カ月、Taxane群が37.2カ月という結果が出た。これにより、TS-1群のTaxane群に対する非劣性が証明された。
TS-1群で認められたグレード3以上の主な有害事象としては、好中球減少が6.8%、疲労が3.3%、下痢が2.6%、食欲不振が2.6%。全グレードでは、脱毛は4.9%という結果が出ている。

転移・再発乳がんを対象としたTS-1第3相臨床試験(SELECT BC試験)米国臨床腫瘍学会(ASCO)で結果を発表 - プレスリリース
http://www.taiho.co.jp/corporation/