白血球と細胞接着分子を阻害する薬剤
2014年5月21日、武田薬品工業株式会社および武田ファーマシューティカルズUSA Inc.は、vedolizumab(商品名entyvio)に関して、成人における中等度~重度の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病について米国食品医薬品局(FDA)より販売承認を取得したと発表した。
潰瘍性大腸炎およびクローン病は、消化管内壁の炎症を特徴とする原因不明の疾患。潰瘍性大腸炎は大腸のみで炎症が惹起されるが、クローン病は大腸だけでなく小腸にも発現する。
潰瘍性大腸炎とクローン病での炎症反応には、α4β7インテグリンとよばれる接着因子が関与している。α4β7インテグリンは白血球に発現し、消化管の血管やリンパ管の細胞接着分子と結合して炎症反応を引き起こす。vedolizumabはヒト化α4β7インテグリンモノクローナル抗体で、α4β7インテグリンと細胞接着分子との結合を阻害する。
欧州での販売承認も目前
今回の承認に関する申請は、第III相試験GEMINIの結果に基づいて実施された。GEMINIは約40ヵ国の2,700例の患者を対象とした最大規模の試験。4つの臨床試験から構成されており、対象患者には標準治療の無効例や不耐性例などが含まれている。
また、vedolizumabは2014年3月、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会においても承認推奨の見解が示され、販売許可がまたれている。

潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「entyvio」」(一般名:vedolizumab)の米国における販売承認取得について
http://www.takeda.co.jp/news/files/20140521_jp.pdf