糖尿病などの治療に応用可能
薬剤を病気の患部に直接届け、より効果の高い治療効果を得るために有用な技術が開発された。糖尿病、がんなどの病気を判別する目安の物質を検知して溶けるゼリー状物質「ヒドロゲル」がそれで、京都大大学院工学研究科の浜地格教授、岐阜大工学部の池田将准教授が共同執筆した論文が、英国科学雑誌ネイチャー・ケミストリーのオンライン版に掲載となった。
(画像はプレスリリースより)
独立行政法人・科学技術振興機構(JST)課題達成型基礎研究の一環として開発したもの。ゼリーの中に薬を閉じ込めることで、病気の状態に応じて体内で放出するといった使い方が可能で、糖尿病の治療などへの応用が期待されている。
成分は9割以上が水
研究グループは、小さな分子化合物が自律的に構造を作り出す「自己組織化注」現象によってナノサイズの構造体を開発し、機能化に取り組んできた。特に、水中でナノサイズの極細繊維となり、絡み合うことで「ヒドロゲル」を形成するゲル化剤の高機能化に成功した。
ヒドロゲルは、水とゲル化剤と酵素を混ぜるだけで簡単に作製できる。さらに抗体のようなバイオ医薬品をそのヒドロゲルに閉じ込め、バイオマーカーの存在を識別し放出させることも可能だ。
研究期間は平成20年10月から平成26年3月。さまざまな医療・診断応用が期待され、その高機能化が進められており、新たな「スマートマテリアル」として、病気の診断材料や薬物放出材料の開発などの医療応用に幅広い貢献が期待できる。

JST プレスリリース
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140507/