男性ホルモン合成に関与する酵素を阻害
2014年5月16日、武田薬品工業株式会社は、第III相試験で前立腺がん治療薬orteronelの全生存期間の改善がみられなかったと発表した。この結果は、2014年5月30日~6月3日に米国で開催される「米国臨床腫瘍学会年次集会」で発表の予定。
orteronelは、同社が創製した非ステロイド性選択的男性ホルモン合成酵素阻害薬で、男性ホルモンの生成に重要な役割を果たす酵素17,20-リアーゼを阻害する。この酵素は精巣や副腎に分布しているが、orteronelは精巣以外での男性ホルモン合成も阻害することから、去勢抵抗性前立腺がんの治療薬として期待が寄せられている。
無増悪生存期間は改善したが、全生存期間はプラセボとの差なし
第III相試験では、化学療法をうけていない転移性・去勢抵抗性の前立腺がん患者1,560名を対象とし、プレドニゾン併用下でのorteronel投与とプラセボ投与の有効性と安全性を比較した。患者をプレドニゾン+orteronel併用群またはプレドニゾン+プラセボ群にランダム化して12週間追跡したところ、プレドニゾン+orteronel併用群では画像上での無増悪生存期間リスクが30%低下したが、全生存期間については有意な群間差が認められなかった。
同社は「本試験の結果を慎重に分析した上で、今後のorteronelの開発方針を決定する」としている。

米国臨床腫瘍学会年次集会におけるTAK-700(一般名:orteronel)の臨床第3相試験の最新データについて(武田薬品工業株式会社)
http://www.takeda.co.jp/news/2014/20140516_6560.html