臨床研究に対する製薬企業の支援はどうあるべきか
2014年4月22日、日本製薬工業協会は、製薬企業による臨床研究支援の在り方に関する基本的考え方について、会員企業に通知したと発表した。
この通知は、2013年8月、厚生労働大臣のもとに設置された「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」での検討をうけたもの。この委員会では、ノバルティス社の高血圧治療薬ディオバンに関する臨床試験をめぐる問題について検証され、真相の解明とともに、再発防止のための議論がなされた。この過程で、今後の臨床試験の在り方における製薬企業への指摘や要請が行われ、同協会はこれに対する基本的な考え方を示した。
奨学寄附金は臨床研究に対する支援としない
今回示されたのは、資金提供や物品供与などの支援と利益相反関係についての下記の2点。
(1)自社医薬品に関する臨床研究に対する資金提供や物品供与等の支援は、契約により実施すること。
また、契約の中で臨床研究に使用されなかった資金や物品は適切に企業に返還されるべき旨を明確にしておくこと。
なお、臨床研究に関わる労務提供については、データ解析業務等研究結果や研究の中立性に疑念を抱かせるような労務提供は行わないものとする。
(2)臨床研究における客観性と信頼性を確保するためには、研究者の独立性が極めて重要であることを認識し、利益相反関係に十分留意の上、支援を行うこと。
(ニュースリリースより引用)
また、奨学寄附金についても、下記のとおりとしている。
奨学寄附金は本来の趣旨に則り適切に提供することとし、今後自社医薬品に関する臨床研究に対する資金提供の支援方法としては用いないこと。
また、奨学寄附金提供に当たっては、社内の営業部門から独立した組織において利益相反を十分確認の上決定することとし、奨学寄附の経緯等の記録を作成し、適切に保管しておくこと。
なお、奨学寄附金により自社医薬品に関する臨床研究が行われていることを知った場合は、できる限り早期に契約に切り替えること。
(ニュースリリースより引用)
同協会は「この基本的考え方については、現在見直しが進められている「臨床研究に関する倫理指針」(厚生労働大臣告示)や、臨床研究に係る法制化の検討状況等も見極めながら、必要な場合には修正を加えるなど、柔軟かつ適切に対応していくこととする」としている。

製薬企業による臨床研究支援の在り方に関する基本的考え方(日本製薬工業協会)
http://www.jpma.or.jp/event_media/release/pdf/20140422.pdf