慢性肝疾患に伴うそう痒症について
東レ株式会社(以下、東レ)と東レ・メディカル株式会社(以下、東レ・メディカル)は、東レが国内において開発を進めていたナルフラフィン塩酸塩の慢性肝疾患に伴うそう痒症について、共同開発、製造販売権に関するライセンス契約を締結し、東レ・メディカルが厚生労働省に承認申請を行ったことを発表した。
ナルフラフィン塩酸塩
同剤は、東レが創製したオピオイドk(カッパ)受容体作動薬。オピオイドk(カッパ)受容体にのみ作用して作動活性を示す。この作用により、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などとは違うメカニズムで痒みを抑制することから、既存薬では効果がみられない痒みに対しても有効性があると期待されている。
日本においては、2009年より、血液透析患者における経口そう痒症改善剤「レミッチカプセル」として、東レが製造販売承認を取得し、鳥居薬品株式会社が販売。
また、同剤の販売にあたり東レ・メディカルは、株式会社オーファンパシフィックとコ・プロモーションならびにPMS(承認された医薬品等において市販後の安全対策を図ることを目的に実施する活動)に関する業務の実施について基本的に合意しており、現在、詳細について協議中だ。
慢性肝疾患患者におけるそう痒症
慢性肝疾患患者におけるそう痒症は、皮膚局所での炎症を伴わない場合でも、全身に強い痒みが生じる疾患。痒みのひどい場合、痒みのために夜間に十分な睡眠がとれないといった、QOLの低下が問題視されている。
慢性肝疾患患者におけるそう痒症には複数の因子が関与すると考えられているが、はっきりとした原因はまだ解明されていない。この痒みは抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などの従来の痒みに対する治療薬では十分に抑制できないことが知られており、有効な薬剤の開発が望まれている。

東レ・メディカル株式会社ニュースリリース
http://www.toray-medical.com/news/inf_141105.html